『思いつくままに』
Vol.11 雲の上は蒼天
蒼天
新緑から深緑へ。この国の豊かな季節感の中でも生命力溢れる最良のひとときを迎えている。日本のように春夏秋冬がこれほどはっきりと分かれている国は世界でも珍しいとされている。
日本人は四季それぞれの中で、花鳥風月の風情を楽しんできた。日常の生活もまた、自然と共にあり、自然の流れに逆らわない生活スタイルに徹してきた。そろそろ初蝉の声も聞かれる頃だが、小さな虫の声や葉擦れの音にも耳を傾ける風流心も持ち合わせていた。“蝉しぐれ”など、なんとも言えず豊かな言葉も、自然を優雅に味わい尽くした表現であろう。
日本映画をヨーロッパで上映する時には、蝉や虫などの鳴き声は消してしまうと言う話を聞いたことがある。なぜか。ヨーロッパ人の耳には蝉などの声は雑音にしか聞こえないからだと言う。四季それぞれの月を愛で、雲の流れにも人生をみる。それもまた日本人なのである。
雲といえば、厚く垂れ込めていたわが国の不況雲にも、ようやく切れ間がのぞき回復の光りが洩れるようになってきた。
先月18日、内閣府から本年1〜3月期の国内総生産(GDP)の数値が発表された。速報値は年率換算で5.6%のプラス成長を示し、景気も大幅に回復しているとのこと。内容的にも「企業部門の回復が家計に波及し、特に設備投資と個人消費が好調であり、景気は着実に回復している」としている。
この動きは多摩地域においても変わりなく、程度の差はあっても、ほぼ全業種にわたって改善傾向が見られるようになってきた。
有効求人倍数をみても、昨年の5月の0.39を底として上昇し続け、今年初めには0.59を示している。八王子の求人倍数も0.8まで回復しており、求人側の数値の伸びは景気の回復傾向を物語っている。ただ、問題として指摘されるのは、相変わらずデフレ傾向が続き、地域や業種によって回復色に濃淡のあることである。しかし、ここまで回復の気運が感じられる“勢い”を大切にしたいものだ。
景気の気運の波に乗り、勝機に結びつけるのは各企業の努力による外はない。支援策はあくまで補助動力であって、メインエンジンは経営者の力量と企業の総合力である。
「雲上常に蒼天あり」という。雲の切れ間から差し込む陽光を我がものとするのは、あなた自身の才覚と努力である。そして雲の上を行くことも。
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