『田辺会頭からのメッセージ』
Vol.16 「金融と堅実な経営」
 
 
不況底打ち論が目立つようになっています。各種の経済指数や景況調査などによって、下げ止まりが見られるといわれます。確かに一部の業種・業界では大幅に縮小した体制を増産に切り替える分野も見られるようになっています。
しかし、中小企業を中心とする地域経済の実態は、明るい兆しを感じているのでしょうか。私は地域の実態を金融機関の目を通して把握するため、先月商工会議所の金融部会の代表の方々にお集まりをいただき、懇談会を開きました。
金融現場から見た中小企業の実態は、殊のほか厳しいものでした。各行のお話からは中小・小規模企業経営者の生き残りをかけた厳しい実態が浮き彫りにされていました。
話題が集中したのが「返済の条件変更」が増えているという実態でした。参加した金融機関のほとんどにこの相談が増えつつあり、可能な限り対応しているとの説明でした。
この「返済の条件変更」策は、金融庁が中小企業金融の資金繰り支援策の一つとして、強力に指導しているもので、企業経営者は先入観にとらわれることなく、堅実な取り組みを考えて欲しいと思います。
私はかねてから申し上げておりますが、今回の大不況は金融不安を引き金に、大幅な需要不足が引き起こしたものであり、この回復にはかなりの時間がかかるものと思います。しかも、その回復水準は今までの8割程度しか戻らないものと考えます。
企業の経営戦略も国の経済対策も、今後は市場が大きくならないという前提で対応していくことが求められます。
今回の不況を乗り切るために、国の施策として融資枠を大幅に増やす支援策が実施されていますが、もう一つの大事な対応策は「借り入れの返済条件を大幅に緩和して、新規の借り入れ以上の効果をもたらす」条件変更を大幅に行うことだと考えます。
期間や条件をゆとりのあるものに変更し、貸し手、借り手の双方が共存共栄を図っていく現実的な対応が求められていると思います。
私ども商工会議所も、この厳しい経済状況の中、我が国の経済構造の中核をなす中小企業への、より一層の努力をするとともに、国や自治体に対しても、中小企業が生き残るために必要な意見・要望活動を粘り強く行っていきたいと思います。
 
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