『田辺会頭からのメッセージ』
Vol.5 「総合的な展示館を」
 
 
今年の八王子まつりには61万人を超える人出があり、大変な賑わいでした。10年ほど前、商工会議所が中心となり、祭りのあり方を検討し提案しました。従来のパレードを主とした市民祭から、山車・御輿を中心とした八王子の伝統のまつりに回帰した“八王子まつり”が多くの方々に受け入れられたものと考えます。
この祭りの主役である八王子の山車には彫刻飾りが施され、芸術作品とも呼べるものです。ただ、残念なことに祭りの三日間を除くと、山車小屋に仕舞われたままで見ることはできません。
全国各地の伝統ある山車は、山車会館などが完備され、常設展示された状態で、いつでも観賞することができます。八王子市民の間からも、八王子にも山車の常設展示館をという声が高まっています。
話は変わりますが、八王子の戦後を支えた主力産業は何だったのでしょうか。ある年代から上の方は“八王子織物”と即答されることでしょう。しかし今、八王子のまちの中に織物産業のかつての面影を見ることはできません。八王子の伝統産業は人々の記憶から忘れ去られようとしているのです。
時代に先駆けた先輩たちの努力によって、八王子というゆるぎない郷土が築かれてきました。八王子織物を生み出した風土は、今日では最先端のものづくり産業に引き継がれ、八王子の今を支えています。
八王子まつりの復活によって、八王子の伝統芸能は受け継がれ、発展をしています。一方、八王子を支えた織物産業は、時代の変遷と共に忘れられ、関係者も年々少なくなりつつあります。その優れた技術や製品の保存・伝承はタイムリミットに近づいています。少なくともここ何年かでアクションを起こさないと、文献に残るのみになってしまうのではないでしょうか。今すぐできることとして、八王子夢美術館で、積極的に八王子織物の蒐集、保存に取り組むことはできないでしょうか。
メールマガジン等で再三訴えているように、八王子の歴史、伝統文化、地場産業を総合的に集約する山車会館・織物資料館さらに市民会館の前にある郷土資料館を含めた複合施設の設置が急務であります。郷土の豊かな歴史や文化、さらには産業の系譜を市民に知ってもらい、次の世代へと伝えることは、私たちの欠かせない役割だからです。
行政のリーダーシップのもと、多くの方々のご理解をいただき、知恵と工夫を寄せ合い、その実現に向けて、経済界としても努力を惜しまない覚悟でいます。
 
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