『田辺会頭からのメッセージ』
Vol.3 「心の交流」
 
 
6月19日に日本商工会議所の常議員会が開かれた。沢山の議題の中から二つの課題を取り上げてみます。
その一は観光立国に関する要望事項で、国が10月に新設する「観光庁」が一元的な取り組みにより、地域の観光振興や外国人が旅行しやすい観光地づくりなどを内容とするものでした。
八王子は高尾山を中心に観光立市をうたっており、最近のミシュラン効果もあって外国人の姿も増えつつあります。高尾の深山を思わせる佇まいが人々の心を癒してくれています。
最近、JR八王子駅の改札正面に駅を中心にしたまちの案内地図が設置されました。JRの粋な計らいで実現したこの案内看板は大いに活用されています。本来なら人が常駐する案内所の設置が理想だと思いますので、関係機関の努力で何とか実現させたいものです。
その二は外国人労働者の受け入れに関するもので、労働力不足が深刻な中小企業の人材確保に向けた、抜本的な解決策を提起しています。長期的な課題ではありますが、移民の受け入れについても問題提起をしています。
今年はブラジル移民100周年の年にあたります。テレビが伝える記念行事を見ながら、100年のときを思わずにはいられません。今日本には日系ブラジル人が沢山働きに来ています。100年前とはまったく逆の流れができつつあるのです。
100年かけて世界最大の日系人社会を作り上げたブラジル移民の先人たちは、多くの苦難を重ねながら、ブラジル人社会に受け入れられていったのです。今の日本は受け入れ側の立場に変わっています。テレビでは日系ブラジル人の方々が日本での生活の困難さを訴える映像も流れています。生活習慣、言葉や子供の教育の問題など、地域社会になじめない苦悩が伝わってきます。
八王子にも多くの外国人留学生が学んでいます。日本の生活や日本人との交流がうまくいかず、失意のうちに帰国する人もいると聞いています。私も以前、自宅で数ヶ月間留学生をお世話した体験があります。涙を流して別れを惜しんだ彼を見送り、つまるところは“心の交流”が全てだったと今でも感じています。
こうした点で、国際交流をめぐるトラブルには、日本人社会にもその要因がありそうです。観光も、労働も、そして留学も原点は心の問題に尽きると思います。日本人にだけ、その心が欠けていると私は思いたくないのですが・・・。
 
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